基礎知識

メンバー シップ型雇用とは?メリット・デメリットを徹底解説

メンバー シップ型雇用とは?メリット・デメリットを徹底解説

メンバーシップ型雇用は、時代遅れだと言われることがありますよね。

従来の方法を続けるべきか、それとも新しい雇用形態にシフトすべきかで、迷っている経営者の方も多いのではないでしょうか。

できることなら、社員も企業も安心して成長できる環境を作りたいですよね。

実は、メンバーシップ型雇用の特性を正しく理解するだけで、そのメリットを最大限に活かしながら課題を抑えることができます。

メンバーシップ型雇用が適切に活用されれば、時代遅れになることなく、組織の安定や成長に寄与するでしょう。

そこで今回は、「メンバーシップ型雇用のメリット・デメリット」を詳しく解説します。

メンバーシップ型雇用が自社に合っているのかを見極め、最適な雇用形態を選択するようにしてください。

メンバーシップ型雇用とは?

メンバーシップ型雇用とは?

メンバーシップ型雇用とは、社員を職務に限定せず、企業全体の一員として雇用する形態を指します。

この雇用形態では、職務内容や勤務地、勤務時間が固定されていないため、企業の方針や状況に応じて柔軟に配置転換や業務変更が行われるのが特徴です。

主に日本の企業で採用されてきた仕組みであり、新卒一括採用や終身雇用、年功序列型の賃金体系といった独自の雇用文化と結びついて発展してきました。

社員は長期的な視点で企業に貢献し、企業は社員の成長を支援しながら雇用を安定的に維持することを目指します。

メンバーシップ型雇用は、企業と社員が長期的な信頼関係を構築しやすい一方で、課題も抱えており、近年ではジョブ型雇用との比較が注目されています。

メンバーシップ型雇用のメリット

メンバーシップ型雇用のメリット

メンバーシップ型雇用は、長期的な視点で社員を育成し、企業と従業員の間に強い信頼関係を築くことができます。

特に、安定した雇用を基盤とした働き方は、組織全体の一体感や協力体制を向上させる傾向があります。

安定したチームを作れる

メンバーシップ型雇用は、社員同士が長期的に働く環境を促進し、安定したチーム作りを実現します。

社員が長期的に在籍することで、相互理解が深まり、チームとしての連携が向上するためです。

たとえば、長年同じ部署で働く社員同士は、業務プロセスやコミュニケーションがスムーズになり、生産性が向上します。

組織全体の安定性を高めるうえで、長期的な人材確保は重要となるでしょう。

企業文化を育てやすい

メンバーシップ型雇用は、企業文化の醸成や維持に貢献します。

長期雇用を前提にすることで、社員が企業の価値観や目標を深く理解しやすくなるためです。

具体的には、社内イベントや研修を通じて、社員が企業の理念を共有し、一体感を育むことが可能です。

企業の独自性を高めるためにも、文化の定着に取り組むことが重要です。

社員の成長を支援できる

メンバーシップ型雇用は、社員一人ひとりの成長を支援する仕組みを整えやすい特徴があります。

長期的な雇用関係により、計画的な教育プログラムやスキルアップの機会を提供しやすいためです。

たとえば、数年間にわたる研修制度を導入し、キャリアの初期段階からスキルを習得させることが可能です。

社員の成長が企業の発展につながるよう、適切な支援体制を整えましょう。

生産性の向上が期待できる

メンバーシップ型雇用は、長期的な視点での生産性向上が期待されます。

社員が安心して働ける環境により、業務への集中力や責任感が高まるためです。

具体的には、固定的なメンバーでチームを構成することで、効率的な業務遂行が可能になります。

メンバーシップ型雇用では、社員が安心して力を発揮できる環境づくりが鍵になるでしょう。

柔軟な人材配置が可能

メンバーシップ型雇用では、企業内での柔軟な人材配置が実現できます。

社員が長期間在籍することで、さまざまな業務を経験し、幅広いスキルを習得するためです。

たとえば、営業部から人事部への異動を行い、異なる業務領域で育成することが可能です。

柔軟な人材配置が可能になることで、職場の適材適所が進むでしょう。

メンバーシップ型雇用のデメリット

メンバーシップ型雇用のデメリット

メンバーシップ型雇用は、長期的な雇用関係を前提とする一方で、柔軟性やコストの面で課題を抱えます。

こうしたデメリットを理解することが、適切な人事制度設計につながるのです。

柔軟な対応が難しい

メンバーシップ型雇用では、迅速に変化へ対応することが難しい傾向があります。

職務の範囲が明確に定められていないため、必要なスキルを持つ人材を迅速に配置できないからです。

たとえば、市場の急激な変化に対応するために、特定の専門スキルを持つ人材を即座に確保することが困難になる場合があります。

変化の激しい状況では柔軟な制度設計が求められるでしょう。

コストが高くなる可能性

メンバーシップ型雇用は、長期的な人材育成や福利厚生にかかるコストが高くなる可能性があります。

長期的な雇用を前提に、研修やスキル開発の機会を充実させる必要があるためです。

具体的には、定期的な社内研修や手厚い福利厚生制度が必要となり、それが人件費の増加につながる場合があります。

コスト管理を意識しつつ、効率的な運用を検討することが重要です。

社員のモチベーション低下

メンバーシップ型雇用は、社員のモチベーション低下を招く場合があります。

明確な業務目標や評価基準がない場合、社員が自分の成長を実感しにくいためです。

たとえば、評価が曖昧な場合、頑張りが報われないと感じ、仕事への意欲が低下することがあります。

社員一人ひとりのモチベーション維持には、適切な評価体制が必要です。

業務が限られがち

メンバーシップ型雇用は、社員の業務内容が固定化されやすいデメリットがあります。

特定の職務や役割に長期間従事することで、新しいスキルを習得する機会が減少するのです。

具体的には、同じ部署で長年勤務することで、他部門の知識やスキルを学ぶ機会を逃してしまう場合があります。

メンバーシップ型雇用では、社員のスキルの幅を広げる取り組みが必要です。

人材の流動性が低い

メンバーシップ型雇用は、人材の流動性が低下する傾向があります。

長期的な雇用を前提とした採用では、外部からの新しい視点やスキルが組織に入りにくいためです。

たとえば、新規事業やプロジェクトで即戦力となる人材を外部から採用する場合、内部の人材育成との調整が必要になることがあります。

メンバーシップ型雇用では、多様な人材が活躍できる仕組みを検討することが重要です。

メンバーシップ型とジョブ型の違い

メンバーシップ型とジョブ型の違い

メンバーシップ型とジョブ型は、雇用に対するアプローチや価値観が異なります。

それぞれの特徴を理解することで、自社に適した人事制度を検討する際の参考にすることができます。

そこで、メンバーシップ型とジョブ型の違いについて解説します。

雇用のスタンス

メンバーシップ型は長期的な雇用を重視し、ジョブ型は特定の業務遂行を重視するスタンスを持っています。

メンバーシップ型では職務内容を明確に限定せず、柔軟な役割を担うことが期待されるのに対し、ジョブ型は契約時に業務内容を明確に定めるためです。

たとえば、メンバーシップ型では総合職として採用され、異動や役割変更がある一方、ジョブ型では専門職として契約し、特定の業務に専念します。

雇用のスタンスによって育成方法も変わるため、自社の方向性に合った選択をする必要があるでしょう。

業務内容の幅

メンバーシップ型は業務範囲が広く、ジョブ型は専門的な業務に特化している点が異なります。

メンバーシップ型では、社員がさまざまな役割を経験しやすい一方で、ジョブ型は特定分野に集中しやすいからです。

具体的には、メンバーシップ型の社員は営業、企画、管理など複数部門を経験する一方、ジョブ型の社員はマーケティングの専門家として特定のプロジェクトに従事します。

必要とする業務内容に応じて、どちらかの制度を選ぶことが求められます。

人材の流動性

ジョブ型は人材の流動性が高く、メンバーシップ型は低いという特徴があります。

ジョブ型はスキルや専門性を基に採用が行われるため、転職市場での移動が活発であるのに対し、メンバーシップ型は長期的な雇用を前提とするためです。

たとえば、ジョブ型の社員は特定スキルを活かして他社へ転職しやすい一方、メンバーシップ型の社員は社内でのキャリアを築く傾向があります。

人材流動性を考慮して採用計画を立てることが重要です。

評価基準

ジョブ型は成果重視、メンバーシップ型は過程や姿勢も重視する評価基準を持っています。

ジョブ型では具体的な業務成果が評価の中心となる一方、メンバーシップ型では勤続年数や協調性などの側面も考慮されるためです。

たとえば、ジョブ型ではプロジェクトの成功率が評価される一方、メンバーシップ型では勤続年数やリーダーシップが昇進の指標となります。

評価基準を明確にすることで、社員の納得感を高めることができるでしょう。

柔軟性

ジョブ型は柔軟性が高く、メンバーシップ型は安定性が重視される傾向にあります。

ジョブ型は業務内容が明確で専門性が高い分、プロジェクトごとに人材を採用・配置しやすい一方、メンバーシップ型は社内での柔軟な異動を前提としているためです。

具体的には、ジョブ型では即戦力となる外部人材を採用し、短期間で成果を求めるのに対し、メンバーシップ型では既存社員を異動させ、必要なスキルを育成します。

自社の求める柔軟性に応じた雇用制度を採用することが大切です。

メンバーシップ型雇用を導入する際の注意点

メンバーシップ型雇用を導入する際の注意点

メンバーシップ型雇用を効果的に導入するには、長期的な雇用関係を維持しつつ、組織運営上の課題を適切に管理する必要があります。

以下のポイントを考慮することで、より成功に近づけることができます。

明確な雇用契約を結ぶ

メンバーシップ型雇用では、雇用契約の内容を明確にすることが重要です。

職務内容や勤務条件が曖昧だと、後々トラブルになる可能性が高まるためです。

たとえば、総合職として採用された社員に、異動や役割変更がある旨を契約書に明記しておくことで、相互の理解を深めることができます。

雇用契約を透明性の高い内容にすることで、信頼関係が構築されるでしょう。

キャリアパスの設計が必要

社員が長期的に活躍するためには、明確なキャリアパスの設計が必要です。

キャリアの見通しがないと、社員のモチベーションが低下しやすいためです。

具体的には、役職ごとのスキル要件や昇進の基準を提示し、社員が自身の成長を計画できる環境を整えることが挙げられます。

社員のキャリアを支援する体制を整えることで、組織全体の生産性が向上するでしょう。

人材の多様性を維持する

メンバーシップ型雇用を導入する際には、人材の多様性を維持する取り組みが求められます。

同質性が高まると、新しい視点や革新的なアイデアが生まれにくくなるためです。

たとえば、採用時に性別や年齢、背景にとらわれない選考基準を設け、多様な人材を積極的に採用することで、組織の活性化を図ることが可能です。

多様性を重視した採用方針が、企業の成長を後押しするでしょう。

適切な評価制度を設ける

社員の成果や努力を正当に評価する制度を設けることが欠かせません。

評価基準が不明瞭だと、不満や不信感が高まり、組織全体の士気が低下するからです。

具体的には、成果だけでなくプロセスやチームへの貢献度も含めた多面的な評価基準を導入することが効果的です。

公平で透明性のある評価制度が、社員のモチベーションを高めるでしょう。

社員のワークライフバランスに配慮

社員が健康的に働ける環境を整えることも重要です。

働きすぎや過度のストレスは、社員の生産性や離職率に悪影響を及ぼすためです。

たとえば、柔軟な勤務制度や休暇制度を導入し、社員が家庭や趣味に充てる時間を確保できるようにする取り組みが挙げられます。

社員が心身ともに健やかに働ける環境が、組織の持続的な成長につながるでしょう。

メンバーシップ型雇用に適したシステム活用法

メンバーシップ型雇用に適したシステム活用法

メンバーシップ型雇用を効果的に運用するためには、採用や人事管理において適切なシステムを活用することが重要です。

以下にその具体的な方法を示します。

企業文化に合った人材選定

企業文化に合致した人材を選定するには、採用管理システムを活用して候補者の適性を評価することが効果的です。

メンバーシップ型雇用では、スキルだけでなく、企業文化への適応性が長期的な雇用の成功に影響を与えるためです。

たとえば、性格診断価値観調査を導入し、候補者が企業の理念や行動指針に共感できるかを評価する仕組みを活用できます。

企業文化を理解し、それに合った人材を選定することが、組織の安定性を高めるでしょう。

採用方法に適した人物像の明確化

採用活動を成功させるには、必要な人物像を明確にすることが重要です。

具体的な要件が不明瞭だと、ミスマッチが発生しやすくなるためです。

たとえば、職務要件をデータベース化し、過去の採用実績を分析することで、採用すべき人物像を具体化することが可能です。

明確な基準を設けることで、適切な採用が期待できるでしょう。

適性検査で候補者のスキルを見極める

候補者のスキルを正確に把握するには、適性検査を活用することが効果的です。

スキルの有無を事前に確認できると、採用後のギャップを最小限に抑えられるためです。

具体的には、専門スキルテスト能力診断ツールを導入し、候補者の適性や能力を客観的に評価します。

適性検査を通じて、求めるスキルを持つ人材を効率よく採用できるでしょう。

面接・選考プロセスの効率化

面接や選考プロセスを効率化するには、デジタルツールの活用が不可欠です。

手動での管理は時間がかかり、担当者の負担が大きくなるためです。

たとえば、オンライン面接ツールや選考スケジュールの自動管理機能を導入することで、スムーズなプロセス運営が可能になります。

選考プロセスを効率化することで、採用活動全体の生産性を向上させることができるでしょう。

応募者データの一元管理

採用活動を効果的に進めるためには、応募者データを一元管理するシステムが役立ちます。

データが分散していると、情報共有が滞りやすく、判断ミスのリスクが高まるためです。

たとえば、採用管理システム(ATS)を導入することで、候補者情報の集約や進捗状況の可視化が実現します。

一元管理されたデータは、迅速で正確な意思決定に貢献するでしょう。

メンバーシップ型雇用のよくある質問

メンバーシップ型雇用のよくある質問

メンバーシップ型雇用に関する疑問は多岐にわたります。

ここでは、メンバーシップ型雇用に関するよくある質問をまとめました。

Q.メンバーシップ型雇用の一番の特徴は?

メンバーシップ型雇用の最大の特徴は、職務範囲を限定せず、社員が組織全体の一員として働く点にあります。

特定の業務だけに縛られないため、異動や新しい業務への柔軟な対応が求められるからです。

たとえば、新規事業の立ち上げや部署異動で新しいスキルを身につける場が提供されることが挙げられます。

幅広い業務経験を積むことで、社員の成長と組織の適応力が高まるでしょう。

Q.メンバーシップ型は終身雇用が基本?

終身雇用はメンバーシップ型雇用の一つの特徴ですが、必須ではありません。

企業ごとに方針は異なり、近年は終身雇用の維持が難しいケースも増えているためです。

たとえば、大企業では長期的な雇用維持が一般的ですが、中小企業では契約期間を柔軟に設定するケースも見られます。

終身雇用を前提とするかどうかは、企業の経営戦略や業界特性によって異なるでしょう。

Q.メンバーシップ型雇用は日本だけ?

メンバーシップ型雇用は日本独自の特徴が強いですが、海外にも似た形態の雇用制度は存在します。

特に日本では、年功序列や新卒一括採用が制度の基盤となっているため、海外よりも定着しているためです。

たとえば、欧米では職務内容を重視したジョブ型が一般的ですが、アジアの一部の国ではメンバーシップ型に近い雇用慣行が見られます。

ただし、日本特有の文化や経済環境が、この雇用形態を支えていると言えるでしょう。

Q.メンバーシップ型雇用はどの規模の企業に向いてる?

メンバーシップ型雇用は、大企業だけでなく中小企業にも適応可能です。

規模を問わず、社員の一体感や長期的な成長を重視する組織に向いているためです。

たとえば、大企業では部門間の異動や幅広いキャリア形成が期待され、中小企業では社員が複数の役割を兼任しやすいという利点があります。

企業規模よりも、経営方針や組織文化に合わせた選択が重要になるでしょう。

Q.ジョブ型とメンバーシップ型はどっちがいい?

ジョブ型とメンバーシップ型のどちらが適しているかは、企業のニーズや業界特性によります。

明確な職務分担が必要な業界ではジョブ型、長期的な社員育成を重視する組織ではメンバーシップ型が向いているためです。

たとえば、IT業界では専門性を求めるジョブ型が一般的ですが、製造業では組織全体での協力が重視されるメンバーシップ型が適しています。

どちらを選ぶかは、自社の戦略や環境を考慮して判断することが大切です。

まとめ

メンバーシップ型雇用は、企業に安定したチームを作り、社員の成長を支援しやすい一方で、柔軟な対応が難しくなるなどの課題も抱えています。

そのため、メリットとデメリットを正しく理解し、自社に合った運用方法を見つけることが重要です。

また、ジョブ型雇用との違いを把握し、評価基準や柔軟性、人材の流動性などを比較検討することで、自社の強みを活かした雇用形態を選択できます。

さらに、メンバーシップ型雇用を導入する際には、明確な雇用契約や適切な評価制度を整え、社員のワークライフバランスを考慮することが大切です。

そのうえで、人材選定や採用プロセスの効率化、応募者データの一元管理など、システムを活用して運用を最適化することで、成功につなげることができます。

メンバーシップ型雇用の真価は、適切な理解と工夫次第で引き出せるのです。

貴社の未来を見据え、最適な雇用形態で持続的な成長を実現してください。

REACH-PLUSのマーケティングを担当しています。趣味はサイクリングで、週末は自然の中でリフレッシュし、新しいアイデアを得ています。採用活動に役立つ記事を発信していますので、ぜひチェックしてみてください。

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