WordPressで採用サイトを作る際に注意したい7つのリスク

誰でも簡単にサイト作成・管理ができる「WordPress(ワードプレス)」。
無料で使用することができるため、採用サイトでも使いたくなりますよね。
採用活動にはコストが発生するため、あまり初期費用をかけたくない気持ちわかります。
しかし、WordPressを使って採用サイトを構築するのは危険です。
WordPressはセキュリティリスクを抱えており、トラブルになる可能性があります。
せかっく採用活動に力を入れるのであれば、なるべく安全にサイト運営したいですよね。
そこで今回は「WordPressで採用サイトを作る際に注意したいリスク」をご紹介します。
WordPressで採用サイトを作る前に、どんな不安があるのか把握しましょう
WordPressで採用サイトを作る理由
WordPressで採用サイトを作る人がいるのは、その利便性と柔軟性が大きな魅力だからです。
WordPressは世界中で広く利用されているオープンソースのCMS(コンテンツ管理システム)であり、さまざまなウェブサイトやブログで使用されています。
専門的な知識は不要で、誰でも簡単にサイト作成・管理できるのが特徴です。
WordPressを使用して採用サイトを構築されるケースも多く、企業ブランドに合わせてカスタマイズされています。
たとえば、WordPressにはページを作成する機能があるため、事業内容やスタッフ紹介のページを作成して、アピールすることが可能です。
さらに、応募フォームや求人情報の掲載、SEO対策など、必要な機能を追加するプラグインをインストールして、サイト運営に役立てる場合もあります。
WordPressは無料で使用できるため、コストを抑えながら採用サイトを構築することができるでしょう。
WordPressで採用サイトを作るリスク
WordPressは魅力的なツールですが、採用サイトを構築する場合は注意が必要です。
WordPressは便利な半面、多くのリスクを抱えています。
WordPressで採用サイトを作ると、どのようなリスクが発生するのか見ていきましょう。
セキュリティリスク
WordPressを採用サイトに使用する場合、セキュリティリスクが高まります。
WordPressは世界中で利用されているため、攻撃を受けやすい一面を持っているからです。
少しでもセキュリティ対策を怠ると、企業の重要な情報が漏洩する危険性があります。
たとえば、定期的なアップデートを行わなかったり、セキュリティプラグインを導入しないと、不正アクセスやデータ流出のリスクが高まります。
WordPressはセキュリティリスクが高いため、個人情報を扱う採用サイトは特に注意した方が良いでしょう。
表示速度が遅い
WordPressは複雑な構造をしているため、表示速度が遅くなりやすいです。
プラグインの多用やテーマの選び方次第で、サイトの表示速度が遅くなる場合があります。
画像や動画を使うと求職者にアピールしやすくなりますが、WordPressで作るとページの読み込み時間が長くなります。
表示速度が遅いと求職者がストレスを感じ、応募まで至らないかもしれません。
表示速度を改善するためには、軽量なテーマの使用やキャッシュプラグインの導入、画像の最適化など、技術的な対策が必要になるでしょう。
継続的な保守管理
WordPressを採用活動に取り入れるのであれば、継続的な保守管理は欠かせません。
定期的なアップデートやバックアップが必要であり、これを怠るとセキュリティリスクが高まるからです。
テーマやプラグインは頻繁にアップデートされますが、更新を怠るとデータ流出するかもしれません。
WordPressは更新頻度が早いため、常に気をつけなければいけないでしょう。
カスタマイズの限界
WordPressは色々できて便利なツールだと紹介されていますが、カスタマイズの限界はあります。
多くのテーマやプラグインが用意されていますが、特定の機能やデザインを実現するためには、高度な技術が必要になるからです。
しかも、WordPressの設計はアンチパターンと呼ばれる「やってはいけない」構成になっており、カスタマイズにも苦労させられます。
たとえプログラミングに長けている人物に依頼しても、「できない」と拒否される可能性があるでしょう。
プラグインの互換性問題
プラグインと呼ばれる拡張機能を追加することで、WordPressに新しい機能を追加することができます。
しかし、プラグインを追加したことで互換性問題が発生し、正しく動作しない場合があります。
たとえば、応募フォームのプラグインとセキュリティプラグインが互いに干渉し、フォームが正常に送信されないトラブルが発生するかもしれません。
特に無料のプラグインは保証に期待できないため、トラブルになりやすいでしょう。
他社と類似しやすい
WordPressで採用サイトを作ると、他社とデザインや機能が類似しやすくなります。
多くの企業が同じテーマやプラグインを使用するため、結果的にデザインや機能が似通ってしまうからです。
デザインが他社と類似すると求職者に誤解を与えるし、自社の魅力を十分に伝えることができません。
他社と差別化するためには、デザインやサイト設計にもコストをかける必要があるでしょう。
サポートの制限
WordPressはオープンソースになるため、基本的に開発元のサポートを受けることができません。
問題が起きても助けてくれるわけではないため、自力で解決する必要があります。
たとえ外注にサポートを依頼しても、内部機能に問題があればお手上げです。
開発元が修正するまで待たなければいけないため、採用活動が停滞するでしょう。
WordPressでもコスト削減にならない場合がある
WordPressは無料で使えるのが魅力ですが、WordPressを導入してもコスト削減に鳴らない場合があります。
なぜなら、WordPressで採用サイトを構築する場合、さまざまな費用が発生するからです。
たとえば、無料テーマだと差別化できないので、オリジナルテーマを作成するとします。
オリジナルテーマの費用相場は、フリーランスに依頼しても20~50万円程度が必要です。
出典:WordPressの料金相場を解説!ブログやサイト制作の導入費比較|ランサーズ
Web制作会社に依頼するともっと高くなる可能性があるし、100万円を超えても不思議ではありません。
また、採用サイトに適したプラグインの数が少ないため、有料版を購入したり、新たに開発する必要もあります。
すべて自分で作る場合は別ですが、他者に依頼するのであれば、それほどコスト削減にはならないと受け止めるようにしてください。
WordPressは何もしなくてもリスクが発生する
WordPressは簡単にサイト構築ができる便利なツールですが、何もしなくてもリスクが発生します。
WordPressを使う・使わないに限らず、WordPressへの攻撃は日々行われているからです。
実際に、WordPressを使っていないサーバーでも、アクセスログにはWordPress用の攻撃が記録されています。
もし、何も知らずにWordPressをインストールしてしまったら、知らず知らずのうちにハッキングされるかもしれません。
過去に、私たちのお客様で「WordPressをインストールしただけでハッキングされた」といったご相談がありました。
私たちが納品した求人システムには攻撃がありませんでしたが、サーバーの別領域にあるWordPressからサーバー内部に侵入されたのです。
結果的にすべてのファイルを削除することになり、イチからサイト構築することになりました。
このように、WordPressが原因でサイトが駄目になるケースは多発しており、多くの運営者が頭を悩ませています。
WordPressを安全に運用するには、相応の知識と覚悟が必要になると思っていたほうが良いでしょう。
WordPressで採用サイトを作る3つのポイント
WordPressにリスクは存在するものの、WordPressが悪いわけではありません。
WordPressを導入して、安全にサイト運営している会社もたくさんあります。
ツールの特性を理解したうえで、採用サイトを構築することが大切です。
そこで、WordPressを活用した採用サイト構築における、重要なポイントをご紹介します。
予算を明確にする
WordPressで採用サイトを作る際は、予算を明確にしてください。
WordPressは基本的に無料ですが、テーマやプラグインの導入などで、追加費用が発生する場合があります。
初期費用はゼロ円でも、採用サイトに必要なパーツを追加していくと、費用が増すかもしれません。
予算をしっかりと設定し、見積もりを取りながら計画を進めることで、予期せぬコスト増加を防げるでしょう。
専門業者に依頼する
WordPressで採用サイトを構築する際は、なるべく専門業者に依頼してください。
WordPressが得意なWeb制作会社などに依頼することで、トラブルに巻き込まれるリスクが減ります。
どんな採用サイトを作ればいいかわかってるし、注意事項も教えてくれるので安心です。
実績やポートフォリオをチェックし、信頼できる業者を選びましょう。
セキュリティ対策を徹底する
WordPressで採用サイトを作るときは、セキュリティ対策を徹底してください。
定期的なアップデートを実施し、隙を作らないようにすることが大切です。
特に管理画面は狙われやすいため、管理画面のURLを変更したり、CAPTCHA(画像認証)を導入するなど、アクセスしづらくするのも効果があります。
しっかりとしたセキュリティ対策を講じることで、個人情報の保護とサイトの安全性を確保することができるでしょう。
無料テーマより有料テーマがおすすめ
WordPressは世界中で使用されているため、常にセキュリティリスクが伴います。
採用サイトは個人情報を扱うため、セキュリティ管理に頭を悩ませるでしょう。
もし、「WordPressは使いたいけどセキュリティが不安……」というのであれば、有料テーマを検討してください。
日本製の有料テーマであれば、セキュリティ対策を施しているものが多いです。
たとえば、高品質なワードプレステーマを販売しているTCDには、採用サイトを作れるテーマがあります。
参考:WordPressテーマ「ISSUE(TCD106)」
機能が豊富でカスタマイズ要素が高く、コストパフォーマンスにも優れています。
自分でサイト構築しなければいけませんが、わからないところはサポートしてもらえるでしょう。
ただし、有料テーマを使ってもWordPressのリスクが完全になくなるわけではありません。
WordPressは頻繁にセキュリティ問題が発生しているため、販売元が対応しきれないからです。
あくまで「無料テーマよりは安全」ぐらいに認識し、慎重に検討しましょう。
WordPressで作られた採用サイトの事例
ここまでWordPressについてネガティブな情報をお伝えしましたが、WordPressで作られた採用サイトは多いです。
WordPressの利点を最大限に活用し、求職者に自社のブランドイメージを伝えています。
そこで、実在する採用サイトを元に、どのような点が優れているのかご紹介します。
フォーシーズ株式会社
全国で不動産事業を展開するフォーシーズ株式会社は、WordPressで採用サイトを作っています。
全体的に動きのあるアニメーションを随所に配置しており、求職者の興味を惹きつける構成になっています。
特に「数字で見るフォーシーズ」というコンテンツでは、フォーシーズ社のデータをインタラクティブに表現しているため、とてもわかりやすいです。
仕事紹介や社員インタビューも凝っており、テンプレート感は一切ありません。
誠実でちょっぴりゴージャスな印象を与える、不動産にふさわしい採用サイトだと言えるでしょう。
株式会社オールコネクト
通信・インフラサービスを行う株式会社オールコネクトは、WordPressで採用サイトを作っています。
従業員に焦点を当たったサイト設計で、自社の魅力を紹介しています。
企業文化・風土ではイラストを用いて説明しているため、堅苦しさがありません。
また、採用管理システムのハーモスと連携しているため、WordPress特有のセキュリティリスクを下げているのも特徴です。
個人情報やサステナブルにも配慮しており、現代的な採用サイトだと言えるでしょう。
SATORI株式会社
マーケティングオートメーションツールの開発・提供をしているSATORI株式会社は、WordPressで採用サイトを作っています。
昨今の採用サイトは派手になりがちですが、SATORI株式会社の採用サイトはシンプルでわかりやすいです。
採用ブログで代表者の考え方や社内の様子を公開しているため、親しみを感じさせます。
採用管理システムの「HERP Hire」と連携しているため、幅広い職種にも対応できているようです。
採用サイトの基本をWordPressに反映した、真似しやすいサイトだと言えるでしょう。
はっぴーらいふ
地域密着型の介護サービスを行っている「株式会社ライフケア・ビジョン はっぴーらいふ」の中途採用サイトは、WordPressで作られています。
職種ごとに専用のページが作られており、動画やnoteを活用しているのがトレンドです。
ただ、実際の応募は採用管理システムにリンクしているため、WordPressだけで完結しているわけではありません。
WordPressでは職業や仕事内容を紹介し、採用管理システムと連携することで、上手に採用活動に活かしています。
みなみ幼稚園
学校法人愛光学園が運営する「みなみ幼稚園の採用サイト」は、子供向けのデザインで、明るく・楽しい雰囲気が伝わってきます。
働きやすさや環境の説明を前面に押し出しており、求職者の不安を解消するコンテンツが魅力です。
エントリーフォームはWordPressのプラグインを使用しており、シンプルながらも最低限の設計になっています。
WordPressのリスクを最小限に抑え、セキュリティに配慮した作りになっていると言えるでしょう。
日光建設
不動産事業を行う「日光建設株式会社」は、サブディレクトリにWordPressを設置して採用サイトを作っています。
社員インタビューや職場紹介が参考になるのはもちろん、社内アルバムで画像を公開しているため、車内の様子がわかりやすいです。
また、採用ブログを定期的に更新しており、求職者だけでなく、一般ユーザーへの集客にもつなげています。
メインの会社サイトとデザインは異なるものの、更新頻度が多いことで、採用に力を入れていることがわかるでしょう。
ミニストップ
コンビニでおなじみの「ミニストップ株式会社」も、WordPressで採用サイトを作っています。
大手コンビニ3社(セブン‐イレブン、ローソン、ファミリーマート)は自社開発の採用サイトを作っていたため、珍しいと感じて取り上げました。
ミニストップのイメージカラーである、黄色と青を使ったデザインで、ひと目で「ミニストップのサイトだな」とわかるデザインになっています。
会社紹介や社員紹介など、採用サイトに必要なコンテンツはあるものの、有名企業としてはシンプルすぎる設計になっているかもしれません。
しかし、ブランディング効果はあり、競合よりもコスト削減につながっているのではないでしょうか。
WordPressで採用サイトのよくある疑問
WordPressはコストを抑えて自由度の高い採用サイトが作れる一方で、「本当に自社でも運用できるのか」「セキュリティ面は大丈夫か」といった不安もあるのではないでしょうか。
ここでは中小企業の採用担当者が抱きがちな疑問に丁寧にお答えします。
Q.WordPressだと誰でも採用サイトを運営できる?
WordPressは専門知識がなくても使えるCMSであり、基本的には誰でも運営できます。
しかし、サイトを公開・運用していくには、テーマ設定やプラグインの導入、セキュリティ対策などの基本的な理解が求められます。
たとえば、無料テーマを使って簡単にページを作成することは可能ですが、応募フォームを安全に設置するには「Contact Form 7」などのプラグインとSSLの設定が必要になります。
手軽に始められるとはいえ、「完全に知識ゼロ」で安全に運用するのは難しいため、初期だけでも専門家に相談すると良いでしょう。
Q.WordPressで多言語対応の採用サイトは作れる?
専用のプラグインを使えば、WordPressでも多言語サイトが実現可能です。
WordPressは拡張性が高く、多言語化をサポートするプラグインが豊富に揃っています。
これにより、海外人材向けにも対応した採用ページの作成が可能になります。
たとえば、「WPML」や「Polylang」といったプラグインを使えば、日本語と英語を切り替えられるサイトを構築できます。
多様な人材の確保を目指すなら、多言語対応は大きな強みになるでしょう。
Q.IndeedやGoogleしごと検索と連携可能?
WordPressで作った採用サイトでも、構造化データを適切に記述することで、IndeedやGoogleしごと検索に情報を表示させることができます。
例として、求人情報を記述する際に「JobPosting」という構造化マークアップを用いれば、Googleの検索結果に直接求人が表示されるようになります。
また、Indeedには求人情報のRSSを送ることで掲載できるケースもあります。
ちょっとした工夫で多くの求職者にリーチできる可能性が広がるため、積極的に取り入れていきましょう。
Q.WordPressで応募状況を分析する方法は?
プラグインや外部ツールを使って簡単に分析できます。
WordPress単体では詳細な応募分析はできませんが、Googleアナリティクスや専用プラグインを連携させることで応募状況を可視化できます。
具体的には、「MonsterInsights」などのプラグインを導入すれば、どのページからの応募が多いか、閲覧数が高い時間帯はいつかといった情報を確認できます。
また、「WPForms」などの応募フォームを使えば、送信数の集計も可能です。
データをもとに改善を重ねることで、より効果的な採用活動が実現できるようになるでしょう。
Q.古いWordPressのまま放置するとどうなる?
古いWordPressのまま放置すると、セキュリティリスクが高まります。
WordPressは世界中で使われている分、常に悪意ある攻撃の標的にもなっているからです。
古いバージョンのまま使い続けていると、既知の脆弱性を突かれてサイトが改ざんされたり、情報漏洩のリスクにさらされたりする可能性があります。
たとえば、2021年以前のバージョンではログイン情報を盗まれる脆弱性が指摘されており、実際に多くのサイトが被害に遭いました。
更新せずに使い続けていたことで、求人応募者の個人情報が流出した事例もあります。
常に最新版へアップデートし、プラグインも含めてメンテナンスを欠かさないように心がけてください。
まとめ
WordPressは世界的に人気があるコンテンツ管理システムですが、採用サイトで使う場合は注意が必要です。
WordPressは悪意のある人物に狙われやすく、常にセキュリティリスクを抱えています。
また、複雑な構造をしているので表示速度が遅いし、カスタマイズの限界や、プラグインの互換性問題もあります。
数々のリスクがあるため、無料だからという理由で導入を決めてしまうと、かえってコストがかかってしまうでしょう。
もし、リスクを受け入れたうえでWordPressを導入するのであれば、予算を明確にししたうえで、専門業者に依頼するようにしてください。
継続的に管理し、セキュリティ対策を徹底することで、リスクを最小限に抑えることができます。
ぜひ、リスクとリターンを天秤にかけたうえで、WordPressを導入するか検討しましょう。
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